奥井楓

バイト先で一緒に働く店長の奥さんの今日子さんは、正に女らしさの象徴と言う様な存在だ。それに引き換えバイト仲間の楓は、女らしさのかけらも無い。ただ逆にそんな彼女だから何でも相談できる相手で、僕にとって数少ない親友だ。ある日、楓の助けを借りて、意を決して今日子さんにアタックしたら神展開、不倫関係になった。憧れの女性と夢の様な日々を過ごす事に浮かれていたのだが、何やら僕は本当に大事な事を忘れていた様だった…。

ついに来年取り壊しする事になった学生アパート、そこの管理人の未亡人と、最後の下宿生の男子大学生との、儚く切なく淡い最後の半年間の記録。その頃の彼はまだ若くて、女性の気持ちなんて理解する余裕は無かった。彼女はまだ若い彼と一緒に居たかっただけで、彼の愛情を欲しいなんて全く思わなかったのかもしれない。人生で一番長いようで短かった、春一番が吹いて卒業するまでの日々。

カラダだけの関係だと割り切ったはずなのに…ほんの火遊び…たった一度きりの気の迷いだったはずなのに…。2人が交わした3つの約束は、【1】互いの生活を詮索しないこと【2】会うのは月に一度だけにすること【3】決して本気にならないこと。しかし、いつの日からか湧き上がって来た「君に会いたい…」「あなたに会いたい…」と言う感情に気付かないふりをして、お互いの体だけを求め合う2人。約束を守れなくなったと悟った二人は、最後にもう一度…別れ間際に狂おしく燃えるセックスに没頭する。